マレーシアにはさまざまな労働関連法があります。
併せて、休暇や賞与、さらに解雇規定などについても把握しておくと良いでしょう。

労働関連法について

労働関連法のなかでも「1955年雇用法」(Employment Act 1955)が雇用に関する主な法律となっています。

ただ、対象が「月あたり賃金が2,000リンギ以下の西マレーシアの従業員(外国人従業員を含む)」で、労働条件の最低限度を示すものとなっています。
雇用法の対象となる労働者との間で、「雇用法の規定よりも労働者に不利な内容の契約」を締結した場合において雇用法の規定が適用されます。

また、この雇用法は東マレーシア(サバ州とサラワク州)では適用されません。
両州ではそれぞれサバ州労働条例(Sabah Labour Ordinance)、サラワク州労働条例(Sarawak Labour Ordinance)が適用されています。

労働に関連する法律にはこのほか、1967年労使関係法(Industrial Relations Act 1967)や1959年労働組合法(Trade Union 1959)、1968年雇用(制限)法(Employment (Restriction) Act 1968)、一定の賃金の積み立てを規定する従業員積立基金法(Employees Provident Fund Act 1991)などがあります。

「改正雇用法」の審議

「改正雇用法」の審議が続いており、出産・育児休暇の拡充をはじめ、セクシャル・ハラスメントの抑止力強化などのほか、2020年はじめからマレーシアで大きな影響を受けた新型コロナウイルスの感染拡大による「ウィズコロナでのニューノーマル」も反映する必要がある、と検討が進められている。

休暇について

月額賃金2,000リンギ以下の労働者に適用される1955年雇用法において、休暇については以下のとおり規定されています。
【有給休暇】
・勤続1年以上の労働者は、有給休暇を取得する権利が法律上保障されている。
・取得できる休暇日数は勤続期間によって異なる。勤続2年未満の場合は最低8日、勤続2年以上5年未満は12日、勤続5年以上は16日。
・有給休暇の対象期間に労働者が有給休暇の権利を行使しなかった場合は、権利を喪失する。
【病気休暇】
・病気休暇の日数も勤続期間によって異なる。
・勤続2年未満の場合は年間14日、勤続2年以上5年未満の場合は年間18日、勤続5年以上の場合は年間22日の取得が認められる。
・入院が必要な場合には、60日まで認められる。

出産休暇の規定

・出産休暇中の労働者は、いかなる理由でも解雇されることは認められない。
・5人目の子どもまでは、出産の都度60日(休日、祭日を含む)の出産休暇が取得できる。
・男性労働者の場合、子供が生まれる度に、最大7日の父親休暇が取得できる。

賞与について

年に一回、一カ月分が支給されるのが一般的ですが、会社によって異なります。
支給時期は12月という会社もありますが、春節(中国正月)やハリラヤの時期に支給する会社もあります。

解雇規定・手当について

1955年雇用法では予告期間と解雇に伴う手当について、勤続期間に応じて規定しています。

会社は、解雇実施30日前までに労働局に事前通知し、解雇後14日以内に結果を報告する義務を課されています。
また、当該会社に外国人労働者が雇用されている場合、外国人労働者(永住権権保持者は除く)から解雇する必要があります。

懲戒解雇の場合、懲戒解雇に関する手続きを雇用者と交わす「就業規則」、または組合と結ぶ「労働協約」の中で規定し、同規則に則って解雇する必要があります。

解雇手当の規定

戻る