マレーシアの人々が日々の仕事で得ている給与はどのくらいの水準なのか、目安を把握しておきましょう。

マレーシア国民の給与水準

マレーシアの場合、都心のオフィスで働くホワイトカラーと、建設現場などで働く出稼ぎ外国人のブルーカラー(平均で1,200リンギ程度)とでは著しくサラリーの水準が異なるため、全体の平均値で全容を捉えるのは難しいといった問題があります。

・クアラルンプールの給与水準
クアラルンプールの給与水準をみてみましょう。
比較的「現状に即している」と見られるサラリー水準のチェックサイト「payscale.com」によると、2020年10月現在、クアラルンプールのホワイトカラーのサラリーは年俸ベースで平均5万8000リンギといったレベルで、月ごとにすると4800リンギ(円建てで12万円ほど)の水準です。

統計対象とした業種は、経理担当、営業主任、ITシステムエンジニア、金融機関の一般的事務職となっており、日本企業のオフィスで働く事務職と概ね職務範囲が似ていると考えてよいでしょう。

例えば、経理担当でも決算の資料も作れる、ITエンジニアで特殊な技能がある、ファイナンスの知識がある、さらに日本語が話せるなどのスペシャリストは人材が少ないため、若くても高給のオファーが付く場合もあります。

クアラルンプール都市部と地方の賃金水準の差がとても大きいのも特徴で、payscale.comによると、「全国平均と比べ、クアラルンプールはおよそ2倍の水準」となっています。

賃金水準を統計でみる

マレーシア統計局による2019年の賃金調査によると、月収について、就業者の全体で見た人数ベースの中央値は2,442リンギ、平均値(統計に現れる全員の給与を総計し、人数で割った数字)は3,224リンギとなっている。
性別での統計で見ると、中央値では男性が2,477リンギ、女性が2,379リンギ。平均値では男性が3,304リンギ、女性が3,108リンギとなっている。

労働力人口は約1,300万人

マレーシア統計局の資料によると、2019年現在の労働力人口(15~64歳)は1,330万5,600人、就業者数は1,283万6,800人で、いずれも前年から微増している。

職種別の給与水準

マレーシア統計局の資料によると、職種別のサラリーは概ね次のようになっています(月給ベース、中央値、2019年の統計)。
【職能別】
・弁護士や医者などの専門職……4,468リンギ
・警察官、シェフ、教員などの準専門職……1,900リンギ
・簡易作業のワーカー、清掃員など……1,422リンギ

【産業セクター別】
・農林水産業……… 1,531リンギ
・鉱業、採掘業…… 3,968リンギ
・製造業…………… 1,967リンギ
・建設業…………… 2,169リンギ
・サービス業……… 2,672リンギ

最低賃金について

マレーシアの最低賃金は国内主要56都市において、月額1,200リンギとなっています。
対象以外の都市は2019年水準の1,100リンギに据え置かれています。

なお、最低賃金は従業員の人数にかかわらず、家事手伝いを除くすべての民間企業に適用されます。
最低賃金制度に違反した会社には、2万リンギ以下の罰金、または5年以下の禁錮が科せられます。

外国人労働者に対するレビー(人頭税)

マレーシアでは現在、出稼ぎの外国人労働者に対する人頭税(レビー)が課税されている。
レビーの負担は雇用者が行う。
例えば、西マレーシアでの製造業の場合では1人当たり1,850リンギ、農業の場合には640リンギとなっている(2019年現在)。

月給統計を詳しくみる

統計局が発表している月給に関する統計(2019年)によると、民族別の収入(中央値)は次の通りとなっています。
・マレー系…… 2,415リンギ
・中華系………2,597リンギ
・インド系…… 2,217リンギ
・その他………1,836リンギ

また、都市部と郊外部との賃金差が大きいことも目立ちます。中央値は次の通りとなっています。
・都市部………2,565リンギ
・郊外部………1,560リンギ

なお、同統計に記された、各州・直轄領ごとの月給については表の通りです(中央値、平均値のいずれも表示)。

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