マレーシアの公用語はマレー語ですが、国民は少なくとも公用語と「母語」ができ、3言語以上を話す人もマレーシアでは珍しくありません。
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現地の人々の言語環境について
マレーシアは「外国」ですので、日本語が通じる場所は限られています。マレーシアは多民族国家で、マレー系、華人系、インド系、その他が共存して暮らしています。
そんな経緯もあって、とくに華人系の人々なら、公用語のマレー語はもとより、英語も中国語も話します。
外国語習得に悩む日本人の目には「非常に優秀な人々」というふうに映るかもしれません。
多言語が話せることによる弊害もあるといわれています。
子どもの時から複数言語による教育を受けてきた結果、「それぞれ物事に対する知識が浅い」「いずれの言語でも専門的な話になるとついていけない人がいる」といった問題を抱えているようです。
求人の際は「日本語話者」にこだわりすぎない
求人するに当たり、「日本語を話せる人を取りたい」との希望も多いようですが、専門性の高い職種の人材が欲しい際、日本語話者という条件に絞ってしまうと思ったような人が見つからない、という事態に陥ることもある。
人材紹介会社のスタッフは、こうしたマレーシアならではの背景もよく把握している。「日本語話者」という条件を外した方が良い人材が見つかる可能性もあることを覚えておきたい。
想像よりも「英語レベルが低い」人も
英語の会話レベルは一般的な日本人の平均より良くできるため、日常業務には差し支えない。しかし実際には、「ビジネスの難しい話を論議するにはつらい」という人も結構いる。
マレーシアの通訳・翻訳事情
現地の人々と商談をしたりする場合は通訳が必要になります。また、マレー語の政府文書や英語の契約書などなかなか読むのは難しく、ビジネスに関わってくると翻訳が必要となります。
マレーシアの場合はマレー語、英語、中国語、タミール語などが日常的に使われています。マレーシア政府によると、国内では方言も含めて58語が話されているようです。
マレー語は公用語ですが、それ以外に自分たち民族の「母語」が話すほか、3つ以上の言語を使い分けられる人もマレーシアでは珍しくありません。
マレーシア主要都市でのビジネス言語は英語が主流です。
マネージャークラス以上との商談である場合、彼らのほとんどは英語を話せるため、日英通訳で十分でしょう。
一方、地方ではマレー語が中心となります。こういった状況を踏まえて、通訳の言語を何語にするかを決定しないとなりません。
地方都市での通訳は、主要都市から出張扱いで派遣に
通訳者の多くはクアラルンプールやペナン、ジョホール・バルに集中して住んでおり、地方都市で通訳者が必要となった場合、これらの都市からの出張という形を取ることになる。依頼者は通訳料のほか、交通費や宿泊代を負担する必要がある。
マレーシアでも通訳者は不足
マレーシアでの通訳業務で多いのは、会議(主に商談)やセミナー、工場訪問、社内研修、展示会、市場調査、裁判、医療、営業販売などです。通訳者は話していることを訳すだけでなく、商談やセミナーなどをいかにスムーズに進めるかも重要な役割をもっています。このため、通訳者は高い語学力、冷静な判断力、気配りなどが求められます。また通訳者ごとに得意分野があり、その分野の単語に精通しています。経歴書を見て判断しましょう。
また、依頼者から通訳者に事前に資料を送付したり、本番前の内容を打ち合わせをしっかりやっておくと、よりスムーズな通訳につながります。あまり得意でない分野をいきなり通訳するというのは、通訳者にとって大きなプレッシャーとなります。
マレーシアでの日本語通訳者は日本留学経験者、在マレーシア日本人、国内の大学またはランゲージスクールに通う日本語専攻者、日系マレーシア人が多いです。ルック・イースト政策の一環で日本へ留学した人々は理工系が多くを占めており、製造業での通訳を得意とする人もいます。しかし、法律や医学といった分野の通訳者は少ないのが実情です。
また、通訳には逐次通訳(発言者が話を一旦区切って、通訳者が訳すこと)と同時通訳(主に会議でブースに入って発言者の声を聞きながら約3秒後にマイクを通じて訳すこと)がありますが、同時通訳ができるスキルのある人は多くありません。
通訳の課金方法は原則、半日または終日単位となります。
大規模イベントの際は通訳者の取り合いも
展示会のような催し物が多いマレーシアでは、大規模なイベントがあると通訳者の需要が一気に起きることから、手配や調整に時間がかかることも。
大規模なイベントが複数ある場合は周辺国の通訳者を手配することも起こる。
「翻訳者=通訳者」ではない
通訳者は必ずしも翻訳ができると限らず、翻訳者も通訳ができるとは限りません。
翻訳文書は現在、さまざまな分野の文書が多いのです。10年ほど前は技術系が中心でしたが、今は各種証明書、契約書、観光雑誌、PR文書といったものが多いです。
翻訳者も得意分野があるため、依頼時は経歴書などをチェックしておくといいでしょう。課金方法はたいがい文字数またはワード数換算になりますが、急ぎの翻訳は通常より高くなります。
翻訳もスケジュールの調整を
翻訳は通訳と違い、イベントなどに左右されることはありませんが、内容や納期に応じて翻訳者の調整も必要なことがあります。