新卒からマレーシアのプロサッカーチームへ

大学卒業後、すぐにマレーシアのプロリーガーとなった谷川由来選手。
日本人で新卒1年目という恐らくマレーシアでは初の経歴をもつ谷川選手に、マレーシアという土地を選んだ経緯と、プロとしての活動について率直な気持ちをお伺いしました。


単独インタビュー

大学から海外のチームへダイレクトに入られた方は少ないと思うのですが、マレーシアのチームへ入られたきっかけをお聞かせください。

大学の時に当時JFLに所属するチームからオファーをいただいていたのですが、海外に行った方が面白いかなと思っていて、直接どこかの国へ行こうかとも考えていました。
そんな時、偶然大学の大先輩でもある渡邊将基選手から「マレーシアどうや?」と直接お電話を頂きました。
大学2年の冬に初めてお会いして以来、ずっと会っていなかったので誘って頂いて嬉しかったです。
自分の周りにはヨーロッパやオーストラリアへ行った人もいますが、ダイレクトに東南アジアはいないですね。

海外チームへ行くのに親御さんのご心配はなかったですか?

結構自由な家なので、元々母からは「海外どうや?」って言われてました(笑)。
2020年の年明けからマレーシアに来たのですが、そのままコロナ禍で帰れなくなってしまい、大学の卒業式も出れず、母から「卒業証書届いたで」って連絡が来た時は無事卒業できて良かったぁって思いました(笑)。
プロになってからはまだ一度も実家に帰れていない状況ですね。

プロ選手としてのマレーシアサッカー生活はいかがですか?

楽しいです!
学生の時は、大学で練習後に授業に行き、その後バイトにも行くという生活で、バイトで睡眠時間が削られたりしていました。
学生時代のハードな環境が、プロでやりたいという気持ちを強くしたんだと思います。
今の100%サッカーだけができる生活は楽しくて仕方ないです。
ただ、最初の頃に一度だけ、スポンサーであるヤクルトマレーシア社長の濱田さんから「プロとしてお金もらってるんやからちゃんとせなあかん。日本人でマレーシア代表目指したらええ。」とアドバイスをうけたことがあり、そこから学生とは違いプロとしての自覚が芽生え、試合で活躍していく事をより意識するようになりました。

大学のサッカーと比べて、マレーシアリーグの実力はどうですか?

戦術的な面では大学のチームの方が優れていると思いますが、一個人としての能力はマレーシアの方が高い気がします。
ずっと走ってる選手やすごいタイミングでゴールを決めたりする選手がいます。

プロになって初めてピッチに立ったときはどういう心境でしたか?

多くのサポーターがいるスタジアムで試合をしたのが初めてだったのですごく嬉しかったです。
ただリーグ戦3試合こなしたあとの2020年3月の活動制限令(MCO)以降、無観客試合もしくはスタジアムに来場するサポーターの数を制限する状況が続いているので、とても残念です。

チームメイトとのコミュニケーションで大変なことや、文化の違いを感じたりしますか?

言語ですかね。
1年目と比べたらマシにはなりましたが、言いたいことを伝えられないので苦労しました。
サッカーに関して言うと、日本人プレイヤーにとって基本的なサッカーの知識だとしても、こちらの選手は知らないことがあるので、1から説明しても伝わらないことがあるのが悔しいときがあります。

現在所属されているケランタンには、東山 晃監督がいらっしゃいます。日本人の監督はやりやすいですか?

東山監督にはクチンFAの時からは指導してもらっていて、言語も含めやりやすい部分はあります。
現地の監督は教えてくれると言う感じは正直ないので、コーチや監督が教えてくれなくても、自分でしっかりやるっていうのも心掛けてやっています。

チームの助っ人外国人として、ご自身の立ち位置とかありますか?
またプロになってご自身の意識の変化はありますか?

若いメンバーが多いのでチームでは中堅ですね。
プロとして結果を残さないといけないと思っています。
東山晃監督からは、結果も大事だが自分のやることにちゃんと集中することが結果につながる、と言うアドバイスをいつも頂いているので、まずは自分に出来ること、守備にフォーカスしてやっています。

監督から求められていることは何だと思いますか?

仲間が攻撃していたら自分は下がったり、周りのバランスを見ながら止めて散らすだったり、中盤の潰しだと思っています。

今期から本山選手も入団されていますが、一緒にプレーされてご自身に変化があったり影響を受けたりしましたか?

本山さんは練習からすごくて自分とは段違いです。
練習や試合の映像を見てご自身で反省や分析をされる時に、自分にもアドバイスをいただけるので本当にありがたいです。
何より本山さんのプレーを間近に見られるのが勉強になりますし、同じチームにいることを周りから羨ましがられます。
父からも僕の近況よりも、本山さんのことを聞かれたりしてます(笑)

今シーズンは何試合プレーされていますか?
今年は残り5試合(8月5日時点)となりましたが、チームとしての目標、また個人の目標はありますか?

今シーズンは15試合全てに出場できています。
個人としてというよりは、チームでリーグ優勝する事が目標です。
現状6位で難しい所ですが、まず目の前の1試合に勝ちたいです。

マレーシアで好きなスポットや生活していてここが好きだと思ったりすることはありますか?

人が皆さん優しいです。地方だから余計ですかね。
すごく人との距離が近いです。
昨年まだこちらへ来たばかりでチームメイトの名前も覚えていない時に、スーパーで喋りかけられて、チームメイトかなと思って話していたらファンの方でした(笑)。

最後にMTownの読者にメッセージをいただけますでしょうか?

マレーシアのサッカーを見てほしいです!
コロナが落ち着いたらスタジアムへ来てください!


編集後記

大学からそのままマレーシアでプロサッカー選手になった谷川選手「今、サッカーだけに集中できる環境がとても楽しいです!」と目を輝かせいたのがとても印象に残っています。
他の日本人サッカー選手や濱田社長からも「由来は技術的にも精神的にも本当に成長している」と期待も高くその期待通りの活躍を見せています。
現在リーグ戦全試合スタメンで出場しており、既にチームの中心選手となった谷川選手ですが、現在その実力はまだ発展途上とのこと。更なる飛躍を楽しみにしています。


谷川由来

1997年4月21日生 (24歳)
守山北高校
京都産業大学
2020- クチン FA (Kuching FA) 🇲🇾
2021- ケランタンユナイテッドFC (Kelantan United FC) 🇲🇾

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