一度は諦めたプロの道をマレーシアで歩む

一度就職という道を選んだ後にプロになる道を選んだ鈴木雄太選手。
様々な国にトライアウトを行い、マレーシア以外でもプロとして活躍された経験があるからこそ感じるマレーシアの良さや、マレーシア移籍の経緯をお伺いしました。


単独インタビュー

一度就職した後、カンボジアでプロになったとお伺いしたのですが、プロになるまでの経緯とマレーシアに来た理由を教えて頂けますか?

日本で一度は就職をしたものの、プロとしての道を諦められず半年で退職しました。
その後、タイ、チェコ、ミャンマー、フィリピンとトライアウト(実技試験)を行い、最終的にはSNSで偶然見つけたカンボジア1部とプロの契約を結ぶことになりました。
プロ契約を結ぶまでの過程では、フットボールトレーニングアカデミー(FTA)の仲間やスタッフさんにも沢山助けて頂きました。
今でも交流がありますし、海外での活動に興味のある方にとってとても良い場所だと思っています。
マレーシアは海外を意識した当初から魅力的だと感じていて、自分からヤクルトマレーシアの濱田社長に連絡し、今のチームに所属することになりました。

ヤクルトマレーシアの濱田社長とはどのように知り合ったのですか?

Instagramです(笑)。
情報収集をしていた時にマレーシアの代理人の方と知り合ったのですが、その方のInstagramに濱田さんがタグ付けをされていたのを発見し、DMを送りました。
当時は濱田さんがどういう方なのかも知らず(笑)。
突然にも関わらず丁寧に対応して頂き、今でも本当に感謝しています。
あのDMを送っていなかったら、マレーシアに来ることはなかったと思っています。

マレーシアにきて3年になると思いますが、何か苦労した事などはありますか?

ほとんどないですね。
1年目はチームに外国人が1人しか居なかったので、少しだけ寂しい気持ちはありました。しかし、皆本当にフレンドリーで、すぐにそういった気持ちもなくなりました。チームメイトと話すうち、英語だけでなくマレー語も話せるようになったので、より豊かにコミュニケーションがとれるようになったと感じています。

マレーシアリーグの3部と2部、違いはありますか?

3部はセミプロのようなものなので、チームの上位下位の差が大きいなと感じました。
僕が所属しているチームのように、しっかりとお金をかけてサポートしてくれるところもあれば、そうでないチームもありました。2部に昇格して感じたのは、外国人選手が多く、チーム力の差がほとんどないということ。
ここが大きな違いだと思っています。

カンボジアと比べてマレーシアのサッカーについていかがですか?

サポーター面は間違いなくマレーシアの方が良いですね。カンボジアも変わってきてはいるのですが、僕がいた時はほとんどのチームがプノンペンに集中し、サポーターは付きにくかったです。
それに対し、マレーシアには各都市にチームがあり、地元のチームを応援する文化が根付いていると感じます。
2019年の昇格の時は、サラワク内のチーム同士の試合という事もあり1万人程入りましたし、過去にはスタジアムフルの4万人の動員があった時もあると聞いて、マレーシアにおけるサッカー人気を実感しました。

リーグの折り返し地点の今、チームや個人のコンディションはいかがですか?

11チーム中の9位なので、昇格を目指しているチームという意味では結果が出ていないというのが正直なところですね。
しかし、各個人のコンディションは良いので、残りの試合でしっかり結果を残していきたいと考えています。

チームとしての目標、並びに個人の目標はありますか?

チームとしては新しい監督も迎え、1部昇格を目指しています。
個人としても1部でプレーしたいですし、AFCチャンピオンズリーグにも出たいと思っていますが、個人的な数字より目の前の試合に集中していきたいと考えています。

外国人としての立場についてどのように考えていますか?

僕は考えすぎるとダメなタイプなので、立場についてあまり考えないようにしています。
ただ、マレーシアは「言わないとわからない」というスタイルなので、日本人である自分の事を知ってもらうため、情報発信や気持ちを積極的に伝える等、コミュニケーションをとても大切にしています。

色んな国でのプレイを経験された鈴木選手が思う、マレーシアの良さは?

とにかく人柄が良いと感じています。
僕が住んでいるクチンは政府が独立していたり、言葉も少し違う部分があるので、一般的にマレーシアと聞いて想像されるマレー半島西海岸とはまた違うかもしれません。
他の国も好きでしたが、今はマレーシアが一番好きですね。

クチンでお勧めの場所はありますか?

すごく好きな町ですが、例を挙げるのは難しいですね(笑)。
強いて言えば、クチンは猫の町と言われており、猫の博物館なんかもあるので猫好きの方にはお勧めです。
あとは、コロナ禍でなければ夏に「Rainforest World Music Festival」という国際的な音楽祭が開かれ、日本からはアイヌ民族の方が参加されていたりと、世界の音楽を楽しむことができます。

最後に、MTownの読者へのメッセージをいただけますか?

コロナ禍が収束したら、スタジアムにもクチンにも来てください!


編集後記

一度は就職したものの、夢が諦めきれずトライアウトに挑戦をしプロサッカー選手になる夢を叶えた鈴木選手。
安定した職を手放す決断は誰もができることではありません。
鈴木選手を動かしたのは純粋に「サッカーが好き」という気持ちだったと聞き、日本にいる同じような境遇にいる人にも聞いてほしい話だと感じました。
鈴木選手のブログは、マレーシアサッカーや海外サッカーについて掲載してくれており、サッカーに興味がある方には見て頂きたいと思います。


鈴木雄太

1990年7月9日生 (31歳)
明和FC
明和中学校サッカー部
三重県立津工業高校サッカー部
専修大学体育会サッカー部
2014-2015 FC鈴鹿ランポーレ
2016 FSC Stara Rize(チェコ4部)
2016 TSV1973四日市
2017 Phnom Penh Crown FC(カンボジア1部)
2018 G.C.National Police FC(カンボジア1部)
2019 Kuching FA(マレーシア3部)※マレーシア2部リーグへ昇格
2020~現在 Kuching FA / Kuching City FC(マレーシア2部)

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