日本では見えなかった事が
見えたマレーシア移籍

「気づきと発見は、選手を成長させる。」
そう語るのは、聞く力を大切にする深井脩平選手。
日本で活躍してきた深井選手ですが、今回のマレーシア移籍は自身初となる海外進出です。
移籍の経緯やマレーシアでのふとした気づき、プレーして感じた気持ちなどを率直に語っていただきました。


単独インタビュー

元々日本でプロとして活躍されていた中、マレーシアへの移籍を決めた理由をお聞かせください。

東山晃監督に声をかけて頂いた事がきっかけです。
晃さんとは大学が一緒ですが、在籍期間は被っておらず寮で出会いました。
卒業した後に寮長として残ってくれていた晃さんには、その時からすごく仲良くしてもらっていて。
4年越しに晃さんと同じチームでプレーできる事は嬉しいですし、今回の機会を頂けたことを本当に感謝しています。

海外で選手として活動するという選択肢を、以前からお持ちだったのですか?

いや、なかったですね。というよりは、学生時代は情報がほとんどありませんでした。
僕の大学では、晃さんが初めて海外に出た方でしたし、海外については何も知らなかったというのが正直なところです。
小さい頃からJリーグを見てきたので、日本でプレーしたいという気持ちでした。

しかし、実際プロとして活躍するようになってからは、海外で活躍している日本人の多さを知り、直接話を聞く機会も多くありました。
お話を聞くうちに海外に興味を持ち、今後を考え始めたタイミングに晃さんから連絡を貰い、即決しました。
すごいタイミングだったと思っています。

今年2月頃に初めて来馬したと伺いましたが、何か苦労している事はありますか?

一番は「言葉」の壁ですね。CBというポジションから、コーチングをする際の指示が難しいです。
今は単語をとにかく覚えて、少しずつ勉強しています。

日本サッカーとマレーシアサッカー、それぞれの特徴や大きな違いがあれば教えてください。

日本では個も大事ですが、それ以上に組織化がすごいと感じていました。
マレーシアでは、組織化はまだまだ浸透していない印象です。
ただ、ローカル選手のポテンシャルの高さには本当に驚かされます。
「そんなジャンプする?」とか、「足はやーとか」(笑)。
僕自身プロになるまでは戦術を理解するタイプじゃなかったからこそ、彼らが戦術や基礎を学べば凄い選手になれると感じていますし、日本で学んだことをできるだけマレーシアで伝えていきたいと考えています。

外国人として、チームでの立ち位置をどのように感じていますか?

外国人枠で来ているので、マレーシア人選手より結果を求められていると強く感じています。
ポジション柄、試合の勝敗にはすごい責任を感じますし、コミュニケーション力や伝え方、自身の能力に対して日々考える事が多いです。
日本では見えなかったことが見るようになったり、こうしなければという意識が強くなったり。マレーシアにきて自分自身すごく成長させてもらってると思っています。
そういう面でも、来てよかったと感じてます。

国民性や食べ物など、マレーシアで深井選手が気に入っている事はありますか?

気候ですね。
夏生まれということもあり、夏が一番好きな季節でした。
大学時代から10年近く雪国にいたので、もう雪はいいですね(笑)。
あと、僕は膝があまり強くないので寒いと辛いことが多かったのですが、マレーシアにきてからは一度も膝の痛みがなく、すごく調子がいいです。
実はここがサッカーをプレーする上で一番良い影響があったと思っています。

チームメイトや地域の方など、マレーシア人への印象はどうですか?

すごく素直な国民性だと感じています。
伝えた事は、わかったと言葉にしたうえで、ちゃんと実行してくれます。
積極的にどうしたらいいか聞きに来てくれる子は、人が変わったぐらい良くなっていて、人の成長を間近で感じられるのは楽しいです。
ただ、素直すぎる故に、試合中に熱くなって言い過ぎると目も合わせてくれなくなる時もあるので、もっとリーダーシップを学んで、皆が良い気持ちでプレーもらえるようになって欲しいと思っています。

今シーズンの日本人として得点を決めた第1号は深井選手だと伺いました。
良かったら感想をお聞かせください。

そうですね。
2試合目での本山さんのコーナーキックからこぼれたのを入れさせてもらいました。
この一件から、マッサージをしてくれるトレーナーやチーム内のスタッフの態度もわかりやすく良い方向に変わって(笑)。
本当に良かったと思っています。

コロナ禍により無観客試合が続く中、サポーターとの交流はどのように行われていますか?

無観客ということもあり、ほとんど交流はないですね。
ただ、2試合目のゴールの後は、SNSのフォロワーが300人増えたり、クランタンの街中でファンの方に試合結果について声をかけられたりと、マレーシアでのサッカーの人気と結果への注目度が日本と比べても高いのだと感じました。

残り5試合(8月5日時点)となりましたが、個人としての目標はありますか?

残りの試合も全部出続ける事と、チームを1部に昇格させる事が目標です。
DFは試合に出続けてチームに安定感を与えることが大切だと考えています。
リーダーシップをとりながら、チームの中心の選手になりたいと思っています。

最後にマレーシア在住者、週刊MTownの読者の方へのメッセージをお願いします。

是非、コロナ禍が落ち着いたら直接スタジアムに応援に来て下さい!
マレーシアのサッカーは日本人の方が考えている以上に人気のスポーツですし、スタジアムの盛り上がっている雰囲気を感じてほしいです。
同じ日本人である僕らが頑張っていることで、元気や楽しみを伝えたいです。
また、同じ日本人から声は僕らにとっても本当に力になります。


編集後記

「チームを勝たせることが僕の仕事です。
そこで初めて評価されるのがディフェンダーというポジションです。」まっすぐ私達の目を見て力強く語ってくれた深井選手。

常に勝利に対し大きな責任を感じながら試合に臨み、その強いプレッシャーの中でも楽しさを見つけ、日々成長を感じながら取り組まれているとのこと。
私達に対しても丁寧に対応し、1つ1つの質問に真摯に答えてくれる深井選手の姿から、コミュニケーションを大切にしたリーダーシップを垣間見た気がします。

そんな彼が、現在のチームや後のマレーシアサッカー界へ与える影響は今後飛躍的に増してくるのでは、と感じました。
深井選手の今後のマルチな活躍に期待しています。


深井脩平

1993年7月20日生(28歳)
上高野少年サッカークラブ
大宮アルディージャジュニアユース
大宮アルディージャユース
北陸大学
2015.9-2015.12 ツエーゲン金沢(特別指定選手)
2016-2018 ブラウブリッツ秋田
2019-2020 いわてグルージャ盛岡
2020.8- 2020.12 ヴァンラーレ八戸(期限付き移籍)
2021 – ケランタンユナイテッドFC (Kelantan United FC) 🇲🇾

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