海外暮らしで最も頭が痛いのは住居選びです。
マレーシアでは、良質な物件が格安な家賃で借りられます。
目次
日本人が暮らす物件のタイプ
マレーシアに住む日本人はほとんどの方が「コンドミニアム」と呼ばれるマンションに住んでいます。
リビング兼ベッドルーム(つまり大きめのワンルーム)に簡易キッチンが付いた「ステュディオ(Studio)」から、リビングとキッチンに1〜4室のベッドルームが付いた部屋など、さまざまなタイプの物件があります。
なお、基本的に必要な家具や家電が付いた状態で賃貸されます。
マレーシアでは浴槽に浸かるという習慣がないため、ほとんどのユニットにはバスタブがありません。
一方で、プールやジム、フィットネスセンターなど利用できる施設はたくさんあります。
設備が良いにもかかわらず、家賃を東京の相場と比べてみると、クアラルンプールは約半分かそれ以下に収まります。
なお、ペナンやジョホールバルは立地にもよりますが、概してクアラルンプールよりも割安な物件が多いです。
水周りは要チェック
シャワーを使ったあとの水がきちんと流れない、あるいはトイレのタンクが正常でないなど、水周りのトラブルが多いことがよくある。
物件を内覧する際、トイレを流してみるとか、シャワー周りの様子をしっかり確認するなどの注意を怠らないこと。
賃貸物件の契約方法
マレーシアでは、賃貸住宅のオーナーは個人です。
したがって同じコンドミニアムにある部屋なのに、入ってみるとユニットごとに内装が違い、部屋に用意してある家具類のラインナップも異なります。
その結果、同じコンドミニアムの同じ部屋タイプなのに、賃料が大きく異なることもあります。
内覧の時は細かく物件をチェックするようにしましょう。
契約時の手数料など
契約期間は一般的に1年以上となります。
年間で契約した場合、保証金(デポジット)として家賃の2〜3カ月分を預けるほか、物件によっては光熱費のデポジットを別途要求されることがあります。
なお、礼金を支払う習慣はありません。
短期滞在ならサービスアパートメントの利用も
短~中期間の滞在なら、ホテルや一部のコンドミニアムに設けられている「サービスアパートメント」の利用を検討しましょう。
室内には簡単なキッチンやリビングルームが付いているほか、掃除は隔日〜3日おきなどの形で行われます。
1泊からでも利用でき、契約や高額なデポジットを取られることもないのが利点です。
また、1週間以上泊まった場合、格安なウィークリーレートなどを提案している施設もあります。
不動産業者の選び方
マレーシアには多くのローカルの業者がいるが、初めて不動産を探す場合はサイトを通じて、日系業者を使うのが望ましい。
ローカルの業者の中には、違法で業務を行なっている場合もあり、トラブルが発生した場合、面倒なことになる。
不動産賃貸の手続き
マレーシアでの不動産賃貸手続きの一般的な流れは以下の通りです。

賃貸申込書に記入

申込金を支払う
賃料の1カ月分。申込金を支払うことで物件の仮押さえとなります。
【注意点】
◦ 賃料や条件などを確認し、署名する。署名前に必ず家具などを確認し、
要望点と修繕点があれば伝えましょう。
◦ 申込金の支払い後に借り主がキャンセルする場合は返金されません。

賃貸契約書に署名
【注意点】
◦ 署名前に重要点をしっかりと確認すること。契約書は鍵の引き渡し後に渡されます。

室内確認
要望点や修繕点、クリーニングが完了しているかどうかを確認。

敷金、仲介手数料、印紙税の支払い
◦ 敷金は一般的に家賃の2カ月分+光熱費0.5カ月分。礼金はなし。
◦ 印紙税は賃貸料により違いますが、この時点で支払います。

現地で鍵の引き渡し
備品リストをもとに室内の備品や家具などの確認をします。
この時点で写真を撮ることも忘れずに。

管理事務所に入居者登録をする
パスポートのコピーと賃貸契約書を持参。

入居
クアラルンプールのエリアごとの平均家賃
クアラルンプール市内にはさまざまな不動産物件があります。超高級物件から庶民向けの物件、築年数は古いもののサービスや施設が充実している物件など、希望や好みに合わせて選ぶことができます。比較的人気があるエリアは次の5カ所です。
・モントキアラ Mont Kiara
クアラルンプール北西部のエリア。外国人駐在員向けに開発された高級住宅地。日本人駐在員の多くがこのエリアに住んでいる。ショッピングモールもいくつかあるほか、インターナショナルスクールが2校ある。家賃の目安は3,000〜6,000リンギ。
・スリハタマス Sri Hartamas
モントキアラに隣接する、閑静な住宅街。日本人居住者も多い。ショッピングモールが階下にあるコンドミニアムもあるほか、和食レストランが多く集まるエリアもある。家賃の目安は3,700〜4,200リンギ。
・バンサー Bangsar
クアラルンプール中心部から西部にある高級住宅地。地元の富裕層のほか、日本人など外国人駐在員が多く住む。レストランやバー、カフェも多数あり、欧米のような雰囲気があるエリア。家賃の目安は3,300〜5,800リンギ。
・バンサーサウス Bangsar South
数年前に開発が始まったエリアで、オフィスや高級コンドミニアムが立ち並ぶ。最寄駅はLRTユニバーシティで、日本人がよく行くミッドバレー・ショッピングモールが近く、買い物に便利。家賃の目安は2,700〜3,500リンギ。
・タマン・デサ Taman Desa
地元の中流階級以上の層が暮らすエリア。手ごろな価格でコンドミニアムを借りられることから、MM2H取得者も大勢住んでいる。また、高速道路の入口に近く、首都圏郊外の工場などで働く日本人駐在員に人気のエリア。家賃の目安は1,800〜3,600リンギ。
物件の目安
上記した家賃のコンドミニアム1物件の標準的スペックは次のとおり。家賃は目安で、賃貸料が右記に記した幅から外れる物件もある。
・コンドミニアム1戸あたりの面積は1,000~1,200平方フィート(=sqf、93~111.6平方メートル)
・コンドミニアムのうち、「大きな部屋が多いユニット」「KL中心部で小さい部屋が多いユニット」を除く
・そのエリアを代表する平均的なグレードAとBのコンドミニアムで、白物家電と家具付きの物件
住所の読み方
①C3ブロック、6階、部屋番号が3A
②ブロック番号
③建物の名称
④番地
⑤通りの名称。Jalanは「~通り」の意味を示します。
⑥郵便番号。5桁で最初の2桁は州を表示
⑦州名。Kuala Lumpurの場合は連邦直轄区で州に相当
⑧国名ですが、国内郵送には省きます。
①番地。こういった番地もよくみかけます。
②通りにはこういったものもよくあります。
③地区名。マレー語ではSeksyenともいい、両方を使用します。
④郵便番号と市名
⑤州名。Selangor Darul Ehsanは正式な州名で、他州の正式名もだいたい 3ワードからなります。
⑥国名
マレーシアの市外局番一覧
03 スランゴール州、クアラルンプール、プトラジャヤ、グンティン・ハイランズ
04 ペルリス州、クダ州、ペナン州
05 ペラ州、キャメロン・ハイランズ
06 ヌグリ・スンビラン州、マラッカ州、ジョホール州ムアール
07 ジョホール州グマス、ヌグリ・スンビラン州
082 サラワク州クチン、サマラハン、スリアン
083 サラワク州スリ・アマン、ブトン
084 サラワク州シブ、サリケイ、ムカー、カピット
085 サラワク州ミリ、リンバン、ラマス
086 サラワク州ビンツル、ブラガ
087 ラブアン島
088 サバ州コタキナバル、クダ
089 サバ州ラハド・ダトゥ、サンダカン、タワウ
09 パハン州、トレンガヌ州、クランタン州
アパートスタイルのホテルの利用
クアラルンプールをはじめ、マレーシアの各地にアパートメントスタイルのホテルが運営されています。
5日〜1週間程度の短期滞在から3カ月程度の滞在を目的とする人々に向けた施設ですが、利用者の中には半年〜1年といった長期滞在の住処として使う人もいます。
物件の主な設備
旅行で泊まるホテルと決定的に異なる点として、「住むための施設」が充実していることが挙げられます。
例えば、洗濯機と乾燥機は館内のいずれかにありますし、部屋には簡単なキッチンが設けられている、冷蔵庫が通常の住宅並みに大きなものが置かれている、リビングにあたる部分の面積が大きい、などの特徴もあります。
また、リビングとベッドルームが分けられたタイプの部屋では、ソファーベッドが備え付けられ、来客の宿泊にも使えるようになっていたりします。
プールやフィットネスルームといった日々のトレーニングに使う設備が充実しているほか、施設によっては子供用の遊び場がある、さらには眺めの良い場所に利用者用のバーがあったりと至れり尽くせりです。
なお、掃除やベッドメイキングを行うハウスキーピングのサービスも必要に応じて対応してくれます。部屋の掃除が苦手な人にはうってつけかもしれません。
想定できる利用目的
前述のように5日〜1週間程度の出張での宿泊で、自分で洗濯をしたり、ちょっとした食事を作ったりする想定のある人には便利な施設と言えます。
また、週当たり、あるいは月間当たりのパッケージ料金を提案してくれる施設もありますから、赴任早々の時期にマンション(コンドミニアム)の契約が決まるまでの暫定的な住処として利用するのも良いでしょう。
なお、同様の使い方ができる施設としては「民泊による部屋貸し」というチョイスもあります。
ただ、家主からの鍵の受け取りや、各コンドミニアムのセキュリティスタッフとのコミュニケーション(入館時に登録が求められる、見慣れない住人がいると怪しまれて声がかかる、など)といった本来の宿泊機関に泊まる時とは違った面倒が生じますから、注意が必要です。
部屋の設備の不具合への対応は言うまでもなくホテルのほうがしっかりしています。