2019年以降にマレーシアに進出、事業展開した日系企業の実例を以下示します。 ただ、2020年は新型コロナウイルスの影響で活動が下火となっています。
目次
マレーシアへ進出するのはなぜか?
マレーシアに拠点を置く日系企業を含む外資企業にとっての利点は、国家主体で持続的に整備されてきた社会インフラがあることです。
それらを積極的に利用し、かつては日本から数多くの会社がマレーシアを製造拠点とするために進出してきた経緯があります。
特に物流網や通信網の水準は非常に高いと言えます。
世界クラスの空港、港、洗練された通信ネットワークを含むインフラを拡大することでマレーシア国内各地で作られた製品を時間通りアジアや世界中に届けることを確実にしてきました。
マレーシアの投資コストは他のASEAN諸国と比較すると相対的に安いとはいえないため、労働集約的な製造業の新規進出はペースダウンしています。
その一方で1人あたりのGDPが11,137ドル(2019年)に達していること、内需が堅調に伸びていることから、消費に着目するサービス産業の進出は増加傾向にあります。
マレーシアへの進出、事業展開の実例
2019年下半期以降にマレーシアに進出、事業展開を行った日系企業の実例を以下示します。
なお、情報は各社発表時点のもので、その後詳細が変更された可能性があります。
JX石油開発、サラワク州沖で原油の商業生産を開始
JX石油開発(本社・東京都千代田区)は、同社のプロジェクト会社であるJXマレーシア石油開発がサラワク州沖SK10鉱区でオペレーターとして生産・操業を継続している同鉱区内のラヤン油ガス田で原油の商業生産を2019年12月3日に開始した。(同社発表、2019年12月18日付)
村田製作所、ペラ州の生産棟が完成
村田製作所(本社・京都府長岡京市)は2月12日、ムラタ・エレクトロニクス(マレーシア)がペラ州バトゥ・ガジャで建設を進めていた生産棟が竣工した。建設は2018年10月に開始。構造は、地上3階建て、塔屋1階となっており、延床面積は2万3007平方メートル。建物建設にかかった投資額は40億円に達したという。(同社発表、2月12日付)
大塚製薬、医薬品販売現法を設立
大塚製薬(本社・東京都千代田区)は、マレーシアに医薬品販売のための現地法人「大塚製薬(マレーシア)」を設立した。現地法人を立ち上げることで、代理店事業への積極介入に加えて、革新的な新製品を自社販売および共同販促することにより、地域に根差した医療へのさらなる貢献と製品価値の最大化を目指す。(同社発表、2月27日付)
日通、シャアラムにロジセンター開設
日本通運(本社・東京都港区)のマレーシア法人、マレーシア日本通運は、セランゴール州シャアラム工業地区で建設を進めていた「シャアラム・ロジスティクス・センター」の営業を始めた。
同施設の倉庫面積は4万9879平方メートルに達し、日通が海外事業所に持つ倉庫としては1棟で世界最大の規模を誇る。2階建ての鉄筋コンクリート造で総延べ床面積は6万3421平方メートルある。 (同社発表、3月9日付)
JALとマレーシア航空、共同事業開始
日本航空(JAL)はマレーシア航空とともに両者間で「共同事業」を7月25日から開始した。
共同事業の開始により、両社は互いの運航スケジュールを調整し、乗り継ぎの利便性を高める他、追って運賃を共通化する。(両社共同発表、7月10日付)
日本M&Aセンター、駐在員事務所を開設
企業合併・買収(M&A)を仲介する日本M&Aセンター(本社・東京都千代田区)は、近年増加しているクロスボーダーM&Aの中でも特にニーズが強い東南アジアへの対応強化を目的として、3月10日にマレーシア駐在員事務所を開設した。
東南アジア諸国連合(ASEAN)でのカバー率を上げることで日本とASEANのクロスボーダーM&A案件の情報量・成約件数ともに増加を期待する。マレーシア駐在員事務所は所長1名、ローカルスタッフ1名の2名体制となる。(同社発表、7月27日付)。
山九マレーシア、クラン港にハブセンター
山九(本社・東京都中央区)のマレーシア現地法人、山九マレーシア(本社・ペタリンジャヤ)は、2021年3月1日にポートクラン港ウエストポート内に「アジア・ハブセンター」を開設する。
同センターは同日にオープンする物流センター(面積7万320平方メートル)の一部を借りて運営するもので、当社の倉庫スペースは2万平方メートル。自由貿易区(FTZ)内に位置しているため、非課税で、非居住者在庫や保管中の転売、荷姿変換などが可能な他、輸出入手続きの免除など、荷主にとってコスト削減並びにリードタイム短縮が実現可能となる。(同社発表、7月31日付)。