駐在中の機会を使って、日本人学校ではなくインター校を選択する家庭がある一方、英語教育などが目的で「教育移住」することも一般的になってきました。

授業に必要な英語力

英語を母国語としない児童・生徒向けに、ESL(English as Second Languageの略)を設けている学校もあります。
ESLのある学校では、一部の授業時間に日本人など非英語圏からの児童・生徒向けに英語を教えています。

「まったく(あるいは、ほとんど)英語の読み書きが不可能」という児童・生徒がインター校に通うのはかなり難しいのが現実です。
小学校低学年の場合は英語力がおぼつかない児童でも受け入れるインター校がありますが、高学年の場合はその数が限られます。
そのため、一部の学校に日本や韓国からの児童が集中する傾向があり、結果として校内でも「普段の会話は日本語」という現象が起きています。

一方、入学時の英語レベルがある程度求められる学校では、英語初心者には厳しいものの、必然的に日本人が占める割合は小さくなリます。

両親と学校側とのコミュニケーション

インター校では、日本人の両親と教員とのコミュニケーションも問題になってきます。
「言いたいことがなかなか通じない」というもどかしさはあるかもしれませんが、ほとんどの学校は非英語圏からの子女受け入れに慣れているので、英語が流ちょうでない両親とのやり取りも慣れているはず。
ぜひ躊躇せず積極的な姿勢を見せましょう。

日本人学校からインター校へ転校する例も

マレーシアの外国人向け教育機関が充実していることから、日本人学校で学んでいた児童・生徒がマレーシア滞在中にインター校へ移るケースも増えている。
業務としての駐在期間が終わったのちに、「母子留学」の形でマレーシアに残るという選択肢があるほか、学齢によってはお子さんをボーディングスクールに入れて、親御さんは帰国するという形を取ることもできる。

入学前にはできるだけ学校見学を

マレーシアへの「教育移住」が増える中、ネット情報や、現地の学校紹介エージェントとのやりとりだけで、いきなりマレーシアに渡航する人もいるようです。
しかし、学校そのものの状況はもとより、住む街の生活環境やインフラなどを総合的に確認するためにも、移住前に一度は現地を見学する機会を設けましょう。
実際に現地校通いを始める際、よりスムーズにできるという利点があります。

高校生以上が通う場合

マレーシアにある日本人学校は中学部までしかないため、マレーシアで高校に進学するとなるとインター校への入学が主な選択肢になりますが、英語によるカリキュラムのため、日本人には相当のハンディとなります。
日本での教育しか受けたことがない生徒がいきなり高校レベルの授業を英語で受けるのは「現実的には無理」(あるインター校教員)なケースがほとんどです。

インター校で取れる英語圏大学への入学資格

マレーシアのインター校はイギリス統治時代の影響で「ケンブリッジ式」の大学入学資格を取らせるところが多いです。
次いで近年日本でも増えている国際バカロレア(IB)、その他オーストラリア式やアメリカ式の資格を取らせる学校があります。

日本と教育基準が異なるので、インター校を卒業しただけでは日本の大学入学資格を得ることになりませんが、「シックスフォーム」と呼ばれる大学準備コースを備えたインター校も増えています。
また、IBディプロマやAレベル、オーストラリアやカナダの大学へ入学するための専用コースなどもあります。
マレーシアのインター校に通うと世界各国の大学入学に向けた準備コースを選択できるチャンスを得ることができます。

「ケンブリッジ」式とは

ケンブリッジ式は、マレーシアで最もポピュラーなカリキュラム。
Year11でIGCSE、Year13でAレベルの統一試験があり、大学進学のためにはこれを受験する必要がある。

日本で認められる大学入学資格

日本の文部科学省は大学に入れる資格のある者として「国際バカロレア、アビトゥア、バカロレア、GCEAレベルを保有する18歳以上の者(昭和23年文部省告示第47号第20号~第23号)」という規定を設けています。

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