マレーシアは立憲君主制の連邦国家です。一方で国家元首として国王が存在し、9州にいるスルタンからなる統治者会議での選挙を経て選出されます。

連邦国家としてのマレーシア

マレーシアはマレー半島部の11州とボルネオ島の東部マレーシアの2州の計13州と連邦直轄区の3地域からなる連邦国家です。

連邦政府の首相は両議会で選出され、その後に首相は民族バランスを取りながら各閣僚を任命します。首相は原則、マレー系(土着民族を含む)が任じられます。

マレー半島部の11州のうち9州にはスルタンがおり、9人がそれぞれの州の元首です。これ以外の4州は州の元首として州知事が統括します。州はそれぞれ議会があり、州政府もあります。州政府の長として議会からは州首相が選出されます。また、連邦直轄区の3地域(クアラルンプール、プトラジャヤ、ラブアン)の管轄は連邦政府の連邦直轄区相がその任にあります。

スルタンとは何か

スルタンとはイスラム世界の君主のことを指す。

世界で稀にみる任期制の国王

マレーシアには国王(Yang di-Pertuan Agong)がいます。任期は5年で全13州あるうち9州にいるスルタンからなる統治者会議での選挙を経て選出されます。これは世界でも珍しい制度です。

国王は首相の任命や法律の裁可を行います。名目上の「行政の長」ですが、政府の助言と承認に基づいて行動するため、実権は首相と内閣の下に存在することになります。

上下院からなるマレーシア議会

マレーシアの議会は二院制で、上院(Dewan Negara)と下院(Dewan Rakyat)からなっています。

上院議員の任期は3年で、定数は70議席。うち44議席は国王からの任命で、残りが13州の州議会から選出されます。

下院議員の任期は5年で、定数は222議席。全議員が選挙で選ばれます。連邦政府の首相は下院の解散権を握っており、そのときどきの判断で解散総選挙が行われます。

マレーシアは独立から1973年までは統一マレー国民組織(UMNO)、マレーシア華人協会(MCA)、マレーシア・インド人会議(MIC)からなる連盟党という連立組織が政権を握ってきました。1973年には上記3党のほか、地域政党も含めた11政党が連立を組んで国民戦線(バリサン・ナショナル:BN)ができた後、BNがこれまでに政権を担当してきました。

ところが、2018年5月の下院選で、当時のナジブ政権の汚職への疑いから、マレーシア初の政権交代が起き、マハティール氏率いる政党連合の希望連盟(パカタン・ハラパン:PH)が政権与党に就いている一方、かつての与党3党が野党に下野しました。

その後、マハティール氏率いる政権は2020年に入って崩壊。同氏とともにマレーシア統一プリブミ党(PPBM)を結成したムヒディン・ヤシン氏が新首相となりました。ムヒディン氏は2018年5月のマハティール政権で内務相を務めていたこともあります。

政党の旧称について

MCAとMICの略称は変わらないが、1963年以前はそれぞれマラヤ華人協会、マラヤ・インド人会議と呼ばれた。

ムヒディン政権を支える与党連合

与党連合は国民同盟(PN)という。UMNOと全マレーシア・イスラム党(PAS)、ムヒディン首相の所属政党であるPPBMの連合である国民協約(MN)が中核を占める。

マハティール前首相も新党結成

マハティール前首相は2020年8月、金権腐敗政治を撲滅するために新党を結成すると宣言。金権政治はマレー人を破壊してしまうとの危機感からマレー人を保護するため、「闘士」と名付けたと説明している。「PPBMは金で身を売った裏切り者を通じて敵にハイジャックされた」とムヒディン首相らを批判している。

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