東南アジア諸国連合(ASEAN) 主要国のひとつ、マレーシア。
マレー半島とボルネオ島北部からなる国土に3,000万人超の人々が暮らす、典型的な多民族国家です。

マレーシアという国

東南アジア諸国連合(ASEAN)の主要国のひとつであるマレーシア。
国土面積は約33万平方キロメートルで、日本の国土面積より少し小さいサイズです。
国土の6割を熱帯雨林で占め、国全体の人口密度は平均で1平方キロあたり84人と日本の4分の1程度にとどまります。

国境は北はタイ、南はシンガポール、東はインドネシアと接し、ボルネオ島のブルネイとも接しています。
東南アジア地域の中心部に位置していることもあり、近隣諸国へは飛行機で数時間で到着します。

総人口は3,200万人超で、首都クアラルンプールを中心に三大民族(マレー系、中華系=華人、インド系)など、さまざまな民族が住んでいるのが特徴です。
タイやインドネシアのように一つの民族に融合するのではなく、それぞれの民族が個々のアイデンティティーを強く持ち、文化的な共同体を維持してマレーシアという一つの国に住んでいます。
このため、マレーシア国内では実にさまざまな言語が話されています。

公用語はマレーシア語ですが、イギリスの植民地であった経緯があるため、英語も広く通じます。
また、多くの政府文書はマレーシア語と英語で作られています。

都市部に住むマレー系の人々は、英語が話せる人が多いですが、地方に行くと英語が通じないこともあります。
また、中華系はマレーシア語や英語のほか、標準中国語である北京語、広東語、福建語、客家語、その他中国語方言を巧みに使いこなす人も少なくありません。
インド人の多くはタミール語を話します。
これらに加えて、ボルネオ島に住むカダザン族やダヤク族、ドゥスン族などの少数民族はそれぞれの言語を話しています。

また、バングラデシュやミャンマーなどからの外国人労働者が増えていることから、マレーシアは言語面からみて、実に多様性がある国と言えるでしょう。

マレーシアの国教はイスラム教です。
また、中華系が仏教またはキリスト教、インド系がヒンドゥー教を主に信仰しています。
またこのほかにもインド系の中にはシーク教の信仰者がいますし、中華系には儒教、道教を信仰する人たちもいます。

マレーシアの歴史

マラッカ王国は西暦1400年ごろに建国されました。スマトラ島の王族らがつくったとされ、中国や中東などとの交易の中継地点として大いに栄えました。
イスラム教が広まったのもこの時代とみられています。

しかし、1511年にポルトガルがマラッカを占領。
ポルトガルのあとは1641年にオランダが、1795年にはイギリスが占領。
さらに19世紀にはイギリスがマレー半島全域とボルネオ島の一部を植民地化していきました。
第二次世界大戦中は一時期、日本軍が占領しましたが、日本の敗戦に伴い、再びイギリスが支配します。

マレー半島は1957年までの長きに渡って植民地となっていましたが、イギリスから独立したあと、1963年にマレー半島の州と現在のサバ州やサラワク州、シンガポールを合わせたマラヤ連邦が結成されます。
しかし、2年後の1965年にシンガポールは分離独立し、今に至っています。

1969年には政府を震撼させた人種暴動が発生し、多くの人が死亡しました。
これを機にマレー人を優遇するいわゆる「ブミプトラ優遇政策」が1970年代に始まったのです。

1981年にはマハティール・ビン・モハマド氏が首相に就任。その後、22年間にわたる長期政権を維持しました。
この間に多くの開発事業が行われると同時に工業化も本格化し、マレーシアは大きく発展しました。
マハティール氏はマレーシアの近代化を日本と韓国から学ぶため「ルック・イースト政策」を提唱。
その一環として多くのマレーシア人を日本の大学に留学させました。

2018年、独立以来初めての政権交代が起こりました。
それまでのナジブ政権による汚職疑惑があり、マハティール氏が首相の座に15年ぶりに返り咲きました。

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